研究課題/領域番号 |
62571017
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研究機関 | 国立予防衛生研究所 |
研究代表者 |
小船 富美夫 国立予防衛生研究所, 麻疹ウイルス部, 主任研究官 (80142644)
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研究分担者 |
棚林 清 国立予防衛生研究所, 麻疹ウイルス部, 研究員 (50197505)
茅野 文利 国立予防衛生研究所, 生物製剤管理部, 部長 (80072908)
杉浦 昭 国立予防衛生研究所, 麻疹ウイルス部, 部長 (80077172)
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キーワード | ウイルス感染 / 解熱剤 / 病像増悪 / 肝病変 / ウイルスの異常増殖 / 動物実験モデル |
研究概要 |
今年度は前年に引き続き幼弱動物を用いて同様に解熱剤投与がウイルスの増殖、抗体産生、リンパ系組織と肝における組織病変の出現と修復経過に及ぼす影響を検討した。肝病変についてはミトコンドリア細胞症に観られる病変と比較検討した。 実験の結果、メフェナム酸もしくはアスピリン50mg/Kを1日2回、3日間経口投与した。これらの実験群では臨床症状として食欲の完全排絶、タール様便の排出と著しい体重の減少を示した。ウイルスに対する血清抗体の産生および非特異抗原であるヒツジ赤血球に対する液性抗体の産生は薬剤の非投与群と同様であったものの、薬剤投与群に死亡率の増加を示した。また、胸腺、骨髄、虫垂、盲腸扁桃、パイエル板、顎下、鼠径、腸根リンパなどのウイルス標的組織においてウイルスの異常増殖(非投与群の約1000倍)を招き前回と同様な結果が得られた。リンパ系組織の病変として凝固壊死とリンパ細胞の脱落が観察され、その修復に明らかな遅延傾向をしめした。肝病変として中滴〜大滴顆粒の脂肪変性と壊死が観察されたがミトコンドリア細胞症で報告されている濔慢性の小滴顆粒変性は観察されず、臨床的に脳神経症状は全く観察されなかったが幼弱動物における感染像は解熱剤の投与により更に増悪傾向を示すことが明らかにされた。実験対照群とした薬剤のみ投与群に組織病変、臨床症状は全く観察されなかった。 本研究により解熱剤の投与がウイルスの異常増殖を引き起こすことを見い出したことは安易な解熱剤の使用に警鐘となるものと推測される。
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