研究概要 |
1)原位(in situ)雑種形成によるヒト21番染色体のCDNAのマッピング マウスcDNAをもとに、セルソータで分離したヒト21番染色体ライブラリーから相補性あるDNAクローンを選択。クローニングを行ったインサート(pGC18及び42)を原位雑種形成によりマッピングした。その結果pGC18は21番染色体g21部位に、pGC42は同染色体g22,3部位に遺伝子廃位を決めた。g22,3部位はダウン症候群の主症状発現部分とされている。 2)巨大DNAのパルスフィールドゲル電気泳動による解析 前年度の巨大DNA電気泳動装置購入と同器使用講習会参加後、NotI制限酵素によるヒト染色体遺伝子を組込んだ酵母人工染色体の解析を行った。本年度は泳動条件改善のため循環恒温装置(LKB社マルチテンプII)を購入した。これによりヒト21番染色体のDNAを組込んだ酵母人工染色体を解析、同時に酵母のDNAサイズマーカーを調整し、標準品と比較検討した。これによる酵母人工染色体インサートは比較的小さいもで六〓位と思われた。今後サイズの更に大きいクローンを得ていくとともにサザンブロッティングの条件を設定していく必要がある。 3)染色体異常例の臨床研究 当科外来及び入院例で先天奇形や発達異常を呈した患児について染色体診断、染色体や発達発育のプロフィールの説明、遺伝相談、発育指導及び合併症の診断治療を行った。本症での知能障害を含めての病態を明らかにする上で21番染色体遺伝子の構造解析の必要性が益々増加している事は明らかになった。
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