研究概要 |
ホスフォリパーゼ(PLase C)を活性化し、百日咳毒素(IAP)の基質にならないGTP結合蛋白についてHuman astrocytoma cellを用いて検討した。トロンボキサンA_2レセプター刺激は、ムスカリニック,H_1-ヒスタミンやプラジキニンレセプター刺激と同様に、GTP-依存的にPLase Cを活性かするが、その介在するGTP結合蛋白は、IAP基質以外のものであることを明らかにした。PLase Cを活性化するアゴニストで細胞を処理すると、細胞膜標本におけるGTPγSで引き起こされるイノシトールホスフェートの増加は減弱した。すなわち、脱感作に伴うシグナルトランスダクションの抑制が認められた。アゴニスト前処理によって脱感作を起こさせた細胞より庶糖密度勾配法で細胞膜を分離すると、レセプターとともにGTP結合蛋白もheavy peakよりlight peakへ移行した。このheavy peakで減少するGTP結合蛋白を[^<35>S]GTPγSを用いてフォトアフィニテイラベリングを行いオートラジオドラフィーで観察すると、32KDaの分子量をもつ蛋白質の減少が認められた。そこでこの32KDa GTP結合蛋白をブタ脳の細胞膜画分より抽出し、精製を試みた。細胞膜の32KDaのGTP結合蛋白は1%コール酸で可溶化されず、ルブロールによって可溶化された。すなわち、32KDa GTP結合蛋白は疏水性であると考えられる。また、この蛋白はIAPの基質にならなかった。ルブロール抽出物をDEAE-Sephacel、Sephacryl S-200およびhydroxyapatiteのカラムクロマトグラフィーを行い、Hydroxyapatiteカラムで、 [^<35>S] GTPγS結合活性と32KDa蛋白が対応するピークが認められたが、現在のところ充分に精製されたとは言い難い。今後、分子量32KDaの新しいGTP結合蛋白の生理作用の検討が必要である。
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