研究概要 |
目的:細胞内ミトコンドリア分画に存在するミトコンドリアCK(m-CK)を精製・純化し, その物理化学的性状を検索する. そして, ヒト悪性腫瘍中にしばしば認められるこれと近似したCKとの免疫学的異同を解明する. 今年度はヒトに適応する前の予備実験として牛脳を用いて酵素の純化を行なった. すなわち, 脳にはCKの4つのアイソザイム, CK-MM, CK-MB, CK-BBおよびm-CKのうち前2者はほとんど存在しておらず, CK-BBとm-CKが豊富に存在している. しかもCK-BBとm-CKは等電点が異なるためaifinity shromagraphyによる分離が容易であり, かつ電気的易動度が著しく異なるために電気泳動での確認が容易である. 結果, 牛脳100gを従来法にしたがってホモジナイスし, 超遠心分離によりミトコンドリア分画を得る. 続いて, この分画を用いSephacryl S-200カラムさらにDEAE jeohadex C-6Bカラムによりm-CK分画を精製・純化した. 以上の操作により牛脳100gからの収率は39%であり, 淡白1mgあたりのCK活性は5414〓/mgであった. この精製CK分画のミカエリス恒数(Km)は0.55mM活性化エネルギーは87.2KJ/mble, 45°C, 20分間の加温処理後の残存CK活性は79.0%であった. さらに, ポリアクリルアミドゲル電気泳動から算出した分子量は約3000ダルトンであった. 次年度は, この精製・純化したm-CKを家兎に免疫し, ヒト血中に出現するm-CKとの異同を検索する予定である.
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