研究課題
一般研究(C)
現在の看護教育制度は、占領軍の看護改革に基盤を置いている。以来40年の月日は流れ看護婦に対する社会のニードは変化し、より高度の知識と技術が要求され、カリキュラムの改善が望まれている。しかし看護に関する法律の修正が困難であり、看護教育の改革が阻止されている。占領軍による日本の改革は日本政府を通して実施されたがその改革の基盤は何処にあったかの全容は、国民に知らされず改革の決断過程は長い間ベールに包まれていた。看護改革もアメリカ看護婦による天下り式改革と解釈されていた。本研究は占領期の看護改革が、どのような決断過程で実施されたかに焦点を置いて実施し次の目標にそって調査した。1.被占領下における看護改革がどのような状況下で実施されたかを把握する。2.看護制度の抜本的改革の決断過程を調査する。3.看護政策がどのように地方都市へ拡散したかを調査する。4.看護改革が短期間に遂行された原因を追及する。5.看護改革の与えた看護教育への影響を把握する。本研究の結果、看護改革が占領軍看護婦の一方的な圧力によって実施されたのではなく、日本人関係者-看護婦、医師、文部省、厚生省の代表者を含む看護教育審議会で看護問題を充分に検討しアセスメントをし出来るだけ関係者の合意によって解決しようとした事実を見出した。また、占領軍看護婦は1940年代、アメリカにおいて看護のリーダーが達成しようとした看護政策を指針としたことが判明した。日本の看護発達の遅延は、看護職能団体が看護教育政策に対して影響を及ぼすだけの政治力がなく、1948年に成立した保助看法の抜本的な改善が出来ないからである。現在の融通のない行政機構の中での看護改革は困難である。