「在宅重症患者に対する看護基準(試案)」の作成を目的に研究した。 1 研究方法 (1)在宅看護の基礎(地域関連機関とのチームワーク、在宅看護ステーション等の在宅看護条件、家族指導) (2)状態別看護技術(経営栄養、無菌操作、膀胱カテール等医療依存度の高い看護)を中心に基準化を進める。在宅重症患者看護資料は、昭和49〜61年東京都立神経病院在宅看護活動症例約360例及び東京都神経科学総合研究所症例約20例の資料を分析・検討の基礎資料とした。 2 研究経過 本研究は、3年間継続して行う予定である。昨年度はA 在宅ケアの定義及び在宅ケアにおける看護のあり方、 B 在宅看護の基礎について検討分析した。今年度は、昨年の研究成果を元に(1)在宅看護ステーションの在宅看護条件、(2)医師との連携、(3)地域関連機関殿チームワーク等在宅看護の基礎について更に検討を深めた。また、新たに状態別看護技術に関して、(1)経営栄養など栄養摂取障害の看護、(2)褥創等無菌操作を必要とする看護、(3)膀胱カテーテル留置等排泄障害の看護、(4)在宅死をめぐる問題を研究した。 3 研究結果 新たに次の知見を得た。在宅療養は、施設内の診療体系とは、人的・物理的にも異なるため、独自の在宅療養の基準の確立が必要であり、 (1)病状変化の特長を理解し、進行過程を予測した対応が特に必要である。 (2)重症患者に対する診療・看護の体制(健康保険制度、技術者のマンパワー、医師との指示関係等)の確立と医療器具・器材の供給システム等の在宅医療環境整備が必要である。 (3)在宅療養は、法的観点からも未だ確立されていないので、在宅医療での事故問題等も含め医事法の立場からも検討を深めることが必要である。 4 次年度の計画 残された課題(在宅医療の医事法検討等)の研究を深め、研究成果を基準案として集大成し、現場での評価を行う。
|