近年、健康保険制度は在宅中心静脈栄養法や在宅自己腹膜灌流などを給付対象にした。その結果、医療依存度が高い状態で在宅生活を営む人々が増加することが予想される。 そこで、病棟における看護職の機能が在宅医療においても発揮される必要があり、その看護基準が必要になる。在宅医療は、在宅ケアを受ける人々の生活意識や医療供給条件によって異なるが、東京都三多摩地域での神経系難病に対する在宅看護(約20年)の経験と現在の実践例の分析から「医療依存度が高い在宅患者に対する看護基準(試案)」作成に関して研究した。 在宅医療・看護のあり方は日本プライマリケア学会委員会報告を基に、医療機関内と同様のあり方を設定した。基準(試案)の項目は、A.在宅看護の基礎(1在宅看護における診療と看護、2在宅看護ステ-ションの必要性、3チ-ムワ-ク活動) B.状態別看護技術(1退院期の看護、2緊急時の看護、3無菌操作、4食事摂取障害の看護、5排尿障害の看護、6呼吸障害の看護、7在宅死をめぐる問題)である。 今回作成した試案は在宅看護職員側が作成したものであり、今後、医師等の職種からの検討を受けて完成される運びになる。 本年度は研究費助成最終年度にあたり、健康保険制度や在宅看護をめぐる新しい動きを研究し、各項目を再検討し、その整合性を整理した。
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