生体信号処理系への応用を目的とする高速情報処理システムの開発を大別すると、ハードウェアを用いた処理部とソフトウェアによる処理部になる。ハードウェア面では、大容量のデータを高速に処理し、高精度表示を実現するために高速直接補間法のアルゴリズムを開発し、これをハードウェアで実現するためのロジックを集積回路を用いて製作した。この回路はパイプライン処理を用いるので非常に高速処理が可能であるので、これを多く用いた並列処理を実現するために、集積回路化が必要であるので、その設計を計算機でシミュレーショをしながら実行し、最終的なパターン設計図が完成した。さらに、高速の生体信号処理システムを実現するためには、大容量高速の記憶部を必要とする。電気的・礎気的な結合方式を用いた三次元メモリの基礎的研究も行った。このメモリは共振状態と非共振状態に対応して情報を記憶し、高速にメモリへのアクセスが可能である。コンピュータによるシミュレーションの結果、アクセス時間が10ナノ秒で数百メガバイトの記憶容量を持つメモリが設計可能である事が明らかになった。ソフトウェア面では、生体の重要な情報収集機能である聴覚の働きから母音識別を容易に行うソフトウェアを作成した。さらに、体表面心臓電気現象を解析するための高速心臓電位推定のためのソフトウェアも開発した。体表面心臓電位測定装置と心臓磁気測定装置からの情報を総合的に取り入れて、体内の電気量分布を解析し、これを効果的に表示するソフトウェアを作成した。これを用いて、ダイポールの場合の心臓電位を高速に推定する事が可能になった。さらに、16台のコンピュタを用いた並列計算方式による高速処理装置のための実用的ソフトウェアを開発した。この実現のために上記の高速直接補間法のハードウェアを効果的に用いたので、通常のマイクロコンピュータのみの処理速度に対して10倍以上の高速処理システムを開発した。
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