本研究課題(研究期間 昭和62年度〜平成元年度)に基づき、自然言語医療情報として病院カルテの一種である退院サマリの自動理解処理の研究を行った。3年間において達成された事柄は以下のようである。 1.資料整理蓄積:約1000件(約40000文章)の手書き退院サマリをワ-ドプロセッサを介して文書ファイルとして蓄積した。 2.資料分析:蓄積された自然言語デ-タを計算機を利用して構文的に分析し、約700個の主要な動詞(主にサ変動詞)およびそれらの構造的特徴を抽出した。意味分析には有効な計算機による補助手段が存在しないため約200件(約8000文章)にとどまった。この意味分析の結果、主要な事物概念範疇約70個および属性約120個を抽出した。 3.システムの作成:退院サマリを日本語談話として意味解釈するプロトタイプシステムの作成、連接した複合名詞の意味解釈アルゴリズムの開発、対話型学習機構の検討、および文法逸脱を含む省略文章の解釈方法の開発等を行った。 4.研究発表:原著論文3件(査読有り)、シンポジウム1件(査読有り)、講演論文29件、その他1件、合計34件である。
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