プログラム変換導出のための計算系の形式化と型推論システムの構築を本年度は行った。前者に関しては、前年度の研究により、メタプログラミングのための計算系(これをメタ計算系とよぶ)の部分的な構築が行なわれたが、本年度は、この研究成果を基礎に、理論的な考察と構築された体系の形式化を行った。理論的な考察では、表示的意味論を用いてLISPシステムの形式的記述を行い、LISPの計算機構を明らかにした。これにより、プログラム変換をより形式的な枠組で行うことが可能となった。また、翻訳系についても、同様の形式的な記述を行い、LISPを含めた関数型プログラムの翻訳におけるプログラム変換の有効性を明らかにした。 後者の型推論システムに関しては、対象言語をLISPにとり、型を集合論的に扱うことにより、型のとりうる範囲を明らかにする型推論システムの構築を行った。この型推論システムは、翻訳系に対する前処理プログラムとして機能し、型情報を含んだプログラムを生成する。 この2つの研究の接点としてのメタプログラミングシステムの考察が将来の研究課題として考えられる。
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