研究概要 |
ウイルス感染に対して抵抗性のない動物を遺伝子工学的手法を用い抵抗性動物に転換させるための基礎的実験としてマウス肝炎ウイルス(MHV)をモデルとした抵抗性マウスを作出する目的で実験を行った. MHVのRNA複製に関して感染初期にPNAポリメレースが作られることは必須であると考えられているので我々はこのRNAポリメレース遺伝子に対するanti-senseRNAを細胞内で大量に作製することによりウイルス感染から防禦できないかという点について検討した. DNA合成装置によりMHVRNAポリメレースに対するanti-senseRNAを作り出す50merのdoublestrandedDNAを合成し, SV40のプロモーターを持つp-SV2系ベクターに挿入しMHV感受性L細胞にネオマイシン抵抗性遺伝子とともにtransfectionを行ない, いくつかの細胞クローンを得てそのMHVに対する抵抗性およびMHVRNAポリメレースに対するanti-senseRNAの発現を調べた. その結果anti-senseRNAを発現する細胞のあるものは, 他の細胞に比べMHV感染に対して抵抗性になっている傾向が認められた. 現在さらに多くの細胞クローンを取りanti-senseRNAとウイルス抵抗性との間に相関があるか否かを検討中である. またこの株なDNAをメタロチオネイン・プロモーターを持つ発現ベクターに挿入して, anti-senseRNAの発現量を調節することにより実際anti-senseRNAにより細胞がMHV感染に抵抗性になっているのかどうかを検討していく予定である.
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