研究概要 |
装置の作製:昨年度にひきつづき、厚さ1.27mmのベリリウム金属性の半球をX線用の窓として用いた、四軸回折計用、X線散漫散乱測定用単結晶試料高温装置の2号機、3号機を作製した。本年は、次の諸点の改良を行い、高温におけるその場測定を可能にした。この時次の諸点を念頭においた。 (1) 測定可能領域をできるだけ広くすること。このために、冷却用水パイプ取りつけ口の位置、真空用ゴム管取り付け口の位置を選び、χ軸およびω軸の回転可能角度範囲を出来るかぎり広くした。 (2) 熱電対のφ軸回転によるからみをなくすため、温度測定用熱電対を本体の中心部に配線すること、同時に本体外部の10mm付近で脱着可能にした。そのため温度測定は、散乱強度測定中には行わないことにした。あらがじめヒータの温度と試料の温度の関係を正確に求めておく必要がある。 (3) φ軸にかかるトルクを最少限にするため、χサークル内部に円筒形のつり下げ装置を作製し、χサークルの上部で支え、χの角度のいかんにかかわらず、この単結晶試料高温装置を常に鉛直方向に支えることに成功した。このつり下げ装置のリングは、かなり厳密な真円を必要とすることが分り、装置の重量が負荷された場合に、リングが歪ずまないようにしなければならない。そのために次のように補強を行った。1.つりさげリングの内部に5mmのつばを取りつけた。2.リング開口部に4mm角の補強バーを取りつけた。以上の改良により3号機は測定可能となり予備実験を行った。 (4) 真空、四軸角の設定には困難はなく、約67.0K以下常温までの温度での、散乱X線のその場強度測定が可能となった。 (5) ち相Ag-33.4at%Al合金単結晶の散漫散乱を382K,477Kでその場測定を行った。 (6) 477Kでは、SRO状態は平衡状態ではないことが分かった。
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