本科学研究補助金に関る研究の目的は、シリコン中の微小欠陥を散乱X線を用いて検出することである。これを達成するために、(A)SSDを組みこんだ散乱ラジオグラフィの新しいシステムの試作開発、および(B)超平面波を用いたトポグラフィによる微小欠陥検出方法の改良、(C)それによる微小欠陥の検出、(D)SSD組込み散乱ラジオグラフィ装置による各種材料の観察とシリコン微小欠陥観察、以上の4つのステップを踏んだ。結果的には(D)項の1部以外は、予期した以上の成果を上げることができた。(D)は(A)の装置のソフトとハードのシステム製作が63年12月末に完成したので、現在実験継続中である。以下具体的に述べる。 (1)A項の散乱ラジオグラフィのシステムについては、日本機械学会誌(63年2月)と理学電機ジャーナル(63年10月)に紹介した。SSD組込みのシステムについては現在執筆中である。 (2)B項およびC項については、Jpn.J.Appl.Phys(1987ー6)とPhoton Factory Activity Report(1987/1987ー5)に報告した。この研究でシリコンの結晶を消衰距離(ξg)の厚さまで薄くすると、通常の厚さ(μ^<-1>:μは線吸収係数)の試料では観察不可能な微小欠陥が検出されることを見いだした。CZ結晶中のas grown欠陥の形態を初めて観察した。FZ結晶における微小欠陥の存在も検出できた。これは平成1年2月25日の実験結果で、現在執筆中である。
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