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1990 年度 実績報告書

二核カルボン酸銅のスピン交換相互作用と電子密度分布

研究課題

研究課題/領域番号 62580042
研究機関慶応義塾大学

研究代表者

大場 茂  慶応義塾大学, 理工学部, 専任講師 (50146578)

研究分担者 斉藤 喜彦  慶応義塾大学, 理工学部, 客員教授
キーワードスピン交換相互作用 / 二核カルボン酸銅(II) / 精密X線構造解析
研究概要

カルボン酸銅(II)二量体は通常いわゆる酢酸銅型二核構造をとり、銅原子のまわりの配位環境は四角錐形である。 しかしトリクロロ酢酸銅に関してはesrスペクトルより、三角両錐形に歪んでいると予想されるものもあり、しかもそのー2J値が小さい事が知られていた。 カフェイン付加体については、再結晶溶媒を変えると数種類の結晶構造を作り出せ、しかもそれらのー2J値が136〜220cm^<ー1>と異なっている。 そこで構造と磁性の相関を調べるために、3種類の結晶についてX線構造解析を行った。 いずれの結晶中でも4本架橋のかご型2核錯体が確認されたが、特にー2J=136cm^<ー1>の結晶中では三角両錐形に歪んだ配位が見い出された。 興味深い事に、ー2J値とCu Cu…Cu距離とには強い負の相関が見られる。 Cu…Cu距離のかわりにCuーOーC角の123゚からのずれの平均値を用いてもー2J値と良い相関がある。三角両錐の軸方向のCuーO結合距離が三角面内のCuーO距離よりも短い事から、Cu^<2+>のスピン密度はdZ^2軌道に存在すると予想される。 しかし2つの銅原子のまわりの三角両錐の軸方向はねじれの関係にあるため、架橋カルボキシル基を通してのスピン交換が起こりにくくなる。 以上の理由から配位環境が四角錐形から三角両錐形に歪む程、ー2Jが小さくなると考えられる。 この構造と磁性との相関は、その他のトリクロロ酢酸銅付加体についても構造解析を行い、確認した。
二本架橋をもつ二核銅(II)錯体、〔Cu(RCOO)(phen)(H_2O)〕_2(NO_3)_24H_2O(R=HおよびCH_3)の構造解析を行った。 ー2Jがそれぞれ125と86cm^<ー1>であるのにもかかわらず、幾何構造には特別な相違点はなかった。 酢酸に比べてギ酸イオンの方が架橋カルボキシル部分の電子数が多いためにスピン交換相互作用がより大きくなるものと考えられる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] T.Tokii: "Magnetic Properties and Crystal Structure of a Novel DiーμーFormatoーBridged Binuclear Copper(II) Complex with phenanthroline" Chem.Lett.1671-1674 (1989)

  • [文献書誌] H.Uekusa: "Structure of Dimeric Copper(II)Triorgano silane and germane Carboxylates" Acta Crystallogr.Sect.C. 46. (1990)

  • [文献書誌] M.Yamanaka: "A Correlation of ElectronーDensity and Spin SuperーExchange Interaetion in Dimeric Copper(II) Formates and Acetates" Acta Crystallogr.Sect.B.

  • [文献書誌] H.Uekusa: "MagnetoーStructural Correlation in Dimeric Copper(II) Trichroloacetate" Acta Crystallogr.Sect.B.

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公開日: 1993-08-11   更新日: 2016-04-21  

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