研究概要 |
本研究はコンピュータグラフィックスの手法を用いて、複雑な鉱物および無桟物質の結晶構造原理を研究するのがその目的である。構造原理の中でも、特に重要なcell twinning即ち、単位胞レベルの双晶桟構をその主たる研究対象とする所にこの研究の特色がある。研究方法としては、この目的に適合したプログラムの開発と、難解な構造を持つ鉱物として代表的なプラジオナイトの構造桟構の解明が主たる具体的な研究目標である。成果を以下に要約する。 1.パソコングラフィックス用のプログラムとしてCRYSTAL18を作成した。このプログラムは平野正弘によりn88BASICで書かれたプログラムCRYSTALを基本としたMS-DUS版で、桟能的に次のように大きな改良を行ったものである。まず、任意の計算過程で入力パラメーターの変更、訂正を可能にした。また、回転用の異なる4つの画像をどうじディスプレイ上に表示出来る。さらに、結晶構造を任意の薄い層に切断して表示することが可能である。以上の主な改良桟能にく加えて、プログラム全体として非常に完成℃の高いものにされているため、初心者でも容易に使用出来る。 2.プラジオナイトグループの結晶化学・プラジオナイト,Pb_5Sb_8S_<17>がPbS型の構造を持つスラブが {313} を接合面とし、2回回転操作で双晶したcelltwinであることを確立し、その結晶軸とサブセルの軸とのrationalな方位関係を導くことに成功した。更に このグループのフィレッパイト、Pb_3Sb_8S┣D217も全く同様な原理によるcell twinであることが判明した。前者と異る点は原理的にはスラブの幅のみである。これらの結果に基き、プラジオナイトグループの結晶化学的原理を解明することに成功した。この成功は鉱物、無桟物質の構造原理としての単位胞レベルの双晶の重要性に対する認識を一層高めたものといえる。
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