1.昭和62年6月〜7月にかけて行なった大阪の女子短大生の家庭に対して実施した調査の結果得られた215件の対象についての分析を行なった。衣類の入れ替え、衣類の収納の仕方、収納場所、衣類の収納に対する居住者の評価等についての実態の傾向をとらえた。その結果、衣類はかなりの部分が自室以外にはみ出しており、各部屋に多様に散らばっている状態がみられた。それに伴なって、居住者の評価も衣類の収納に困っている世帯が多く、その理由に収納スペースの不足をあげた世帯は過半数にのぼっている。 2.昭和63年8月〜12月にかけて行なった一戸建住宅およびハウスメーカの分譲住宅に対する調査を、一般住宅(76件)、ウォークインクロゼット所有住宅(49件)、納戸所有住宅(102件)の三タイプに分類して分析した。その結果、衣類用の家具の平均容積は、4.7m^3あり、特に納戸型住宅の値が最も大きく、このタイプでは延床面積の増加に伴なって家具容積も増加する傾向が認められた。クロゼット型住宅では家族人数の増加に伴なう容積の増加傾向が顕著にみられた。しかし、クロゼットの中には、冷暖房器具や本・雑誌類もかなり収納されていること、クロゼット以外にも衣類がかなりの割合で収納されているため、季節外の入れ替えが他の住宅タイプ以上に行なわれていること等がみられ、クロゼットはその面積(平均5.1m^2)の狭さに規制される側面も強く、本来の使い方がされているとはいえない状況である。しかし、居住者は、クロゼットを高く評価しておりその必要性を認めているとともに、衣類収納に対する不満度も低い傾向がみられている。
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