研究概要 |
低タンパク食又は高タンパク食で動物を飼育すると摂食量が著しく抑制される。本研究ではこの摂食抑制因子を脳・血漿・肝臓中の遊離アミノ酸濃度や肝臓中のアミノ酸分解酵素活性の変化を観察、検討することにより明らかにすることを試みた。卵アルブミンをタンパク源とし、飼料中のタンパク含量を3%、5%それ以上は5%刻みに75%までの16種の飼料を用い、成長期のラットを1群5匹として10日間飼育し、この間の毎日の摂食量、体重を計測し摂食状況を観察した。また飼育期間終了後、各群ラットの血漿・肝臓・脳中の遊離アミノ酸濃度を自動アミノ酸分析計にて測定し、肝臓のSDH活性を2,4ージニトロフェニルヒドラジン法により測定した。結果の概要はアルブミン10%食を基準にすると15%以外の全群で総食餌摂取量は有意に少なくことに3%及び50%以上の各群で著くし少量であった。体重増加量は摂食量に応じて3%、5%、55〜75%群で有意に低い値であった。各組織中の遊離アミノ酸濃度については、総必須アミノ酸濃度は血漿・肝臓・脳の何れでも3%、5%群で低く、食餌タンパク含量の増加に伴って高くなるが、血漿は30%以上、肝臓は35%以上、脳では45%以上の群で反対に低下し高タンパク食群では低値になる傾向であった。特徴的なアミノ酸を上げると、脳中のMet、Trp濃度は低タンパク及び高タンパク食で低くなる傾向を示し、Hisは3%群で高濃度であったが、他の群ではほぼ一定であった。血漿Trp濃度は3%群が有意に低く、食餌タンパク含量の増加に伴って高くなった。肝臓SDH活性は食餌タンパク含量の増加に応じて高まり、それとは逆に各組織中のThr、Ser、Gly濃度が低下した。またミルクカゼインをタンパク源とした同様な実験を行ったが、全般的にアルブミン実験とほぼ同じ結果を得た。以上より摂食抑制因子として血漿・脳中のMet、His及びTrpの各濃度の動きに注目した。
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