研究概要 |
研究目的:住宅を長持ちさせるためには, 点検をはじめ予防的管理が大切であるといわれながらも現状では, 事後的管理に終始している. それは, 住宅の傷みの実態や維持管理方法が不明確てあることが大きな原因である. この研究は, 日本の木造住宅の新しい工法として浸透してきた2×4工法の住宅に注目し, その修繕経歴を調べることにより損傷の発生時期や経費を知り居住者の維持管理意識や実態とのかかわりから予防的管理の指針を得ることを目的とする. 研究方法:調査対象は, 奈良県生駒市鹿ノ台の一戸建住宅とし, アンケートによる調査を行い, 309戸より回答を得た. ある対象地区の住宅を全数あたり, 2×4工法と他を比較することとした. 研究結果:対象住宅の工法は木造在来工法が, 49%, プレハブ工法34%, 2×4工法15%であった. 建設年は昭和51〜60年の約10年間に渡っているが, 53〜55年が多く全体の75%を占めている. 2×4工法は, 54年までに8割が建てられており, 57年以降の新しいものはなかった. 敷地および住宅面積の平均は, 249m2, 122m2である. 購入方法は49%が建売り, 42%が注文, 中古購入は6%であった. 住宅に対する満足度を, 広さ, 日当り, 外観, 使い勝手など10項目についてきいた. 家全体を総合的にみた場合, 満足しているのは27%で, 工法によるちがいはなかった. 2×4工法は, 外観に対する満足度は他よりも高いが, アフターサービスに対する満足率が低かった. 建築後10年間で損傷が最も多い部位は浴室関係で約4割がその経験をもつ. 樋, 室内床, 屋根がそれに次いでいる. 他の工法より2×4工法に多い損傷は室内床のきしみで, 比較的早い時期に発見されている.
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