研究概要 |
昭和62年度において行った研究実績の概要は, 主に以下の2点に要約される. なお, 本研究を進めるにあたり既存の食生活, 食料消費, 食料需要モデルに関する文献, 統計資料の収集・整理・検討をまず行うとともに, 計量分析で必要とされるコンピュータ・プログラムの開発を行った. 研究実績の概要 1.戦後おにけるわが国の食生活及び食料需要の変化については(1)食生活は高度成長期に著しく変化したが, 現在は食料消費, 摂取熱量等の量的側面から飽和段階に入っている. しかし, 心理的視座からみた場合, 食生活に対するわれわれの欲求は多様化しており, 質的側面から食生活はまだまだ変化していくと予想される. (2)わが国の平均的な食生活は"日本型食生活"と呼ばれ, 栄養バランス(PFC熱量比)の良い点が高く評価されている. しかし, 厚生省「国民栄養調査」等の統計値からみてF比率(脂質)の高い欧米型のパターンに変化する可能性も強い. 時に, 米と牛肉消費の動向がそのカギを握る. (3)わが国の食生活で中心的役割を果たす米消費については長期的な減少傾向が続く中で新しい動きがみられる. とりわけ, 本研究では上質米, 高品質米への嗜好の強まっていることが計量的に実証された. 2.食料消費行動及び食生活スタイルを解明するため消費者調査(予備調査)を女子大生約200名を対象として実施した. その結果, (1)各食事の主食形態として朝食ではパン食が, 昼食では米を中心としてめん類, パン食が, また夕食では米飯が中心となっていた. (2)食生活における主食, 副食の概念の存続については約6割が存続すると答え, 他方次第になくなるも3割近くあった. (3)わが国の食生活の将来については, 健康志向, 簡便化志向, 安全性志向の強まることが上位にあげられていた. その他, 調査結果から本調査実施に必要な情報が数多く得られた.
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