研究課題/領域番号 |
62580052
|
研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
清水 哲朗 奈良女子大学, 家政学部, 助教授 (40132344)
|
研究分担者 |
堤 伸子 奈良女子大学, 家政学部(現在鳥取大学教育学部助手), 助手 (40197736)
今村 幸生 奈良女子大学, 家政学部, 教授 (10031717)
|
キーワード | 食料需給 / 食料需給モデル / 予測シミュレ-ション / 食生活像 / 食生活の多様化 / PFC熱量比 |
研究概要 |
平成元年度において行なった主要な研究は、1.食料需給の予測シミュレ-ション分析及び2000年における食料需給情勢、食生活像の究明、2.心理的側面からみたわが国食生活の変化の方向及びこれまでの研究の総合的整理の2つであり、以下に研究業績の概要を要約する。 1.すでに開発された食料需給モデルを用いて、種々の条件下での予測シミュレ-ション(予測期間は1988年から2000年)を行なった。その結果、次の諸点が明らかとなった。(1)食料需要予測に関しては、2000年において現在よりも需要が減少する品目は米、砂糖類であり、また横這いないし微増・微減の品目は豆類、鶏卵、魚介類、小麦、果実、海藻類である。一方、増加する品目としてはいも類、野菜、肉類、油脂類があげられる。その結果、わが国の食生活を栄養的見地からみると、1人1日当たりの供給熱量は現在とほぼ同じ水準で推移するが、肉類を中心とする畜産物消費の増加によって、動物性たんぱく質及び脂質の増加が見込まれている。そのため、PFC熱量比で脂質とたんぱく質が日本人にとっての適性比率を上回ることとなる。(2)食料供給予測に関しては、生産量が減少する品目は米、砂糖類であり、また緩やかな変化を示す品目としてはいも類、豆類、小麦、野菜、果実があげられる。増加するものは肉類、鶏卵、牛乳、乳製品、魚介類、海藻類、そして油脂類の各品目である。総合的にみた食料需給のバランスは現在の状況とあまり変わらないことが明らかとなった。 2.現在のわが国の食生活は、量的にはほぼ飽和段階に入っているとみてよい。しかし、食に対する人間の心理的展開を考慮したとき、質的側面からはますます多様化、高度化していくものと考えられる。特に、栄養、健康、安全性、さらに簡便化、食事エンジョイなどに対するニ-ズはより活発化するものと思われる。
|