昨年度につづいて、これまで、以後に展開する研究への仮説の定立をはかるための試行的な研究をおこなっている。 それは都市部の住宅の実態調査(「現代住宅の住まい方と食生活に関する調査」、1987年7月〜8月および12月〜88年1月に実施)の結果をもとに、(1)食事炊事に関係する住宅内部の空間のくみたてられかたと使われ方のしくみ、(2)日常の住宅内での生活と食事炊事生活との関係、(3)食事炊事のしかた、を1950年代と80年代とで比較するものである。 この研究では、現代日本の住宅で典型化しひとつの統合化された様式として定着しているとみられる、うえの食事炊事空間のくみたてられかたのもつ意味を追及しようとしている。そのため食事炊事生活の全体のしくみを、それを構成する諸要素間の関係としてとらえるために、(4)食事炊事に関係した住生活財(家具類、道具類;食器・調理器具類)のもたれかた・使われかたを、食事炊事の過程との関係からみいだそうとした。なお日常の家族生活における食事(献立)の型をみいだすこころみをおこなっている。食事の型と住生活財の使われ方とから、現代の食事炊事空間のもつ生活的意味を捉えようとしたためである。 今回の報告は、研究の途中経過についてものである。したがってうえにあげる内容の追及は、充分にできているわけではない。それらを1989年度に継続しておこなう。なお、以上の内容は、関西地域と関東地域との比較を予定しておこなっているものである。
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