研究概要 |
退院後の虚血性心疾患患者14名を対象に長期的な運動療法を実施し, その過程で, 運動教材として一般によく親しまれ, かつ普及しているジッギングや, ゲームスポーツとして手軽なミニテニス, 卓球, バドミントンを症状制限下の条件で指導し, それぞれの運動の直後における心拍数の回復状態を調べた. 先ずジッギングでは, 館内周回方式かつ患者個人が「無理がない」と判断する連度で実施し, その問および回復体の心電図を無線搬送方式でモニター・記録した. 延42例の測定から1)患者のジッギングでは心拍数に定常状態があらわれない. 2)ジッギング直後の心拍数は既に相当な回復を示し, 直後10秒間の心拍数の6倍値はジッギング終了直前10秒間の心拍数の6倍値よりも平均6.3拍減少して119.2拍となり, 直後20秒間の心拍数の3倍値では8.8拍の減少, 直後30秒間の2倍値では10.7拍の減少, 直後60秒間の心拍数では15.7拍の減少をそれぞれ示した. 3)上記42例のうちジッギング終了直後10秒間の心拍数の回復率が10%以上となったケースは7例, 最大値は18%であった. 以上の結果が, エンドポイントにおける心拍数の高さに依存するかについて, エンドポイントの心拍数(範囲:80〜160拍/分)を10拍毎の段階別に群分けし回復曲線を求めて検討した結果, この点には依存せず, 上述の心拍数減少の傾向はそれぞれの高さのエンドポイント時心拍数で一様にあらわれていることが明らかとなった. 上述の点について, 1984年ロサンジェルス五輪の重量挙の強化選手13名および1988年カルガリー五輪のノルディック複合の強化選手10名を対象に, オールアウト時心拍数から比較検討した. これら選手のオールアウトではその直後10秒間の心拍数の6倍値に回復がなく, 20秒間の心拍数の3倍値で3.8拍, 30秒間心拍数の2倍値で8.0拍, そして1分間心拍数で23.4拍の回復となっていた.
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