研究概要 |
本研究は, 19世紀におけるドイツの体育・スポーツ史研究の基礎作業として18世紀後半から19世紀末までのドイツ語の体育・スポーツ関連文献より基本術語や運動記述を抽出し, その用例を分析して基礎的データを作成することを目的とし, 3年計画ではじめられた. 初年度である今年は, 科研費補助金でマイクロリーダーを購入したことにより, マイクロフィルムにおさめられた文献の解読と整理を中心に作業が進められた. その作業を通して本研究を進めていくのに更に必要な文献も明らかになり, その入手の手続きを進めている. 文献の調査は日本体育大学, 筑波大学, 神戸外国語大学, 大阪外国語大学の附属図書館でおこなった. 前二校では体育関係のドイツ語文献を調べ, 後二校では古いドイツ語関係の辞典類の所蔵状況が確認され, 今後の研究に益することと思う. 直接購入した文献の中には大変貴重な資料となるものも含まれており, 本研究だけでなく, 広く今後の体育・スポーツ史研究の深化に役立つことと思われる. また長崎大学附属図書館に大型図書として備えつけられていたコレクションの中にも本研究に必要な文献を見出し, とりあえずその一部をコピーしていただき, 目下解読中である. まだ基礎作業の段階であるが, 作業を進めているうちに, 例えばGuts muthsの主著の第1版(1793年)と第2版(1804年)の間に, 動詞形で説明されていたものの多くが名詞化されている事実に気づくなど, 新らしい知見も得られ, 今後の作業の中で深めていきたい課題も見出している. 今年度の成果は, まだ論文等で公表するまでには到っていないが, 12月に筑波大学の体育史研究下位で中間報告的発表をし, 来る5月には, 日本体育学会体育史専門分科会の研究会でGuts muthsの感覚運動に関する研究」(仮)を発表する予定である. これは従来からおこなっていた研究に, 本研究で進めている作業から得られた成果を加味してなされるものである.
|