研究概要 |
1.本年度の研究目的 わが国における一流競技選手及び指導者のスポーツ価値意識のパターンを明らかにし, それに関連する要因を分析することが目的である. 2.調査の概要 (1)調査対象:オリンピック候補選手を中心にしたわが国の一流競技選手とその指導者 (2)調査期間:昭和62年7月から11月 (3)調査方法:郵送法によるアンケート調査 (4)調査票配布数1709, 回収数1065, 回収率62.3% 3.スポーツ価値意識の分析 スポーツ価値意識を, スポーツへの取り組み方を示す即時志向と禁欲志向, スポーツの意義づけ方を示す世俗志向と遊戯志向, という2つの軸でとらえ, 分析を行った. 調査の結果, スポーツへの取り組み方については, 両者ともたえず能力の向上をめざして鍛練しようとする禁欲志向が強くなっていた. (選手89%, 指導者94%). このことは一流競技において予想された結果である. しかし, スポーツの意義づけ方については両者とも考えが分かれており(選手は世俗志向40%, 遊戯志向60%, 指導者は世俗志向47%, 遊戯志向53%), 一流競技の中で, スポーツの意義や目的についての考え方に違いがみられた. さらに, 世俗志向と遊戯志向の選択に関連する要因を数量化理論II類によって分析した結果, 選手の側では性, 競技のやりがい度, 個人主義, 私生活主義, 修養主義, 報酬意識などの要因が関連し, 指導者では年齢, 意識のズレ, 精神主義, 全力主義, 出世意識, 生活目標, 「競争-協同」意識, 「余暇-仕事」意識などが関連していることが明らかになった.
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