研究概要 |
本年度は女子の学生を対象に, 障害走の運動技能について分析を試みた. 障害走における運動技能の到達基準については, 50m障害走とした. つまり, 高さ, 68cmのハードルをスタートから12mの地点に1台目を置き, 2〜4台目までの間隔は, それぞれ7mとし, 4台目のハードルからゴールまでを27mとした. 特に2台目から4台目までのそれぞれのハードル間を3歩のリズムで走り通すことを主な条件とした. その際, 走破タイムおよび50mのタイムも計時し, 統計処理をした. 対象者74名の内, この基準に達した者(A群)は, 52名(平均タイム11秒6±0秒9), 基準に達しない者(B群)は, 22名(平均タイム13秒3±1秒4)であった. これらの中からそれぞれ5名を抽出し, 16mm映画撮影を行い, 踏み切りから着地までのハードリングについて動作分析を試みた. その結果は次の通りである. (1)踏み切り足からハードルまでの距離はA群132.8cm±9.9, B群89.2cm±8.1であった. (B群の方がハードルに近いことがわかる) (2)ハードルから着地足までの距離は, A群86.8cm±13.9, B群82.3cm±9.9であった. (B群の方が狭いことがわかる) (3)空中動作中で一番高い地点(身体の合成重心)の距離は, ハードルの上端から計測して, A群44.0cm±3.2, B群42.3cm±5.9であった. (4)踏み切り足から振り上げまでの角度については, A群18.8度±3.8, B群22.0度±3.3であった. (B群の方が上体が立っている) (5)空中動作における前傾角度では, A群34.0度±5.3, B群22.2度±5.2であった. (6)着地点での前傾角度は, A群22.6度±3.3, B群15.4度±3.0であった. さらに踏み切りの初速度や重心移動の分析も試み, 両群の特徴が指摘された.
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