研究概要 |
本研究の目的は, weight training(WT)の生体に及ぼす影響を生理・生化学的立場から明らかにし, 体力向上に最も有効なWTの処方を検討することである. 本年度は, 次の異なる3種類のWTプログラム, 即ち, (1)Endurance Type(EN:2sets×16reps), (2)Exploive Type(EX:1RMの40%で可能な限り速く), (3)Stren-gth Type(ST:3sets×6reps)についてトレーニング実験を行なった. 被検者に, 健康な成人の男子 名を採用し, 無作為に3つのグループに分けた. トレーニングの頻度は週3日(隔日に), 期間は8週間とした. トレーニング前・後の2回, 最大O_2摂取量と呼吸循環系諸指標, 筋力, 筋持久力, パワー, 身体組成, 血清成分を測定した. トレーニングの結果, 筋力(腕・脚)は3群ともに増大を示し, EN・STにおいて特に顕著であった. 筋持久力は有意な向上を示さなかったが, これは本研究では筋持久力測定の負荷に相対的負荷を用いたためと思われる. 腕のパワーは3群ともに向上(13〜16%)を示したが統計的に有意な向上とはならなかった. 一方, 脚のパワーではEX(11%)とST(8%)が有意な向上を示したが, ENは脚筋力で20%の有意な増大を示したが脚パワーは有意な向上とならなかった. 運動直後の平均心拍数は, EN135, EX150, ST130拍/分でそれぞれ最高心拍数の70, 74, 67%に相当する運動強度であった. 最大O_2摂取量は3群とも増加したが, ENのみが有意な向上(9%)を示した. トレッドミル走も3群ともそのランニング・タイムは増大したがSTのみが有意な向上(6%)を示した. EXは高い心拍数を示したが, 運動時間が短かいために呼吸循環系への寄与は他の2群より少なかった. 体脂肪率は3群と減少を示したが, 除脂肪体重ではENのみが有意な増加(3%)を示した. 以上の結果, 本研究の3つのWTプログラムから, ENが生理学的諸機能・体力要素を向上させる最も有効なトレーニング・プログラムであるということが明らかにされた.
|