研究概要 |
ヒトペプシノーゲンの主要アイソザイム成分を用いて活性化反応を解析した. N末端47残基の活性化ペプチドの一次構造決定を行うとともに, 活性化のときの切断部位を詳細に調べた. 各アイソザイム単独での活性化はペプシノーゲン→中間体→ペプシンの順に進行し, 2段階反応であった. 更に外から過剰のペプシンを加えた反応と, またペプスタチンを加えた反応においては, 条件を選ぶことによりペプシノーゲン→中間体, ペプシノーゲン→ペプシンの両反応をそれぞれ選択的に行なわせることができた. ペプシン生成Fの切断部位はどのような条件下でも常にLeu47-Val48であったが, 中間体生成時には分子内反応ではLeu23-Lys24, 分子間反応ではAsp25-Phe26で切断がおこり, 反応の違いにより2種類のものが生じることが明らかになった. 活性化ペプチド上には一次構造上多くの切断され易い箇所があるにもかかわらず, このような極めて限定的なかつ反応条件で異なる切断はペプチドの立体構造が大きく関与していると考えられた. これらの特に一次構造決定のためにマニュアル・エドマン法を改良し, 常時1〜0.1nmolでの解析を可能にした.
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