前年度では、糖蛋白質の糖鎖をピリジルアミノ化し、ゲルろ過にて精製したピリジルアミノ(PAー)糖鎖を、逆相HPLCとサイズフラクショネーションHPLCの原理の異る2種類のHPLCで分離し、その溶出時間を構造既知のPA糖鎖と比較することにより、その構造を推定することが出来た。スアシアロ型PAー糖鎖については、HPLCの溶出時間と構造の間に規則性が存在することが分かった。 今年度はこの2次元マッピングを用いて微量しか得られなく、通常のろ法にてその糖鎖構造決定が出来ない天然型インターフェロンーγの糖鎖構造解析を行った。 インターフェロンーγ(0.016mg)をヒドラジン分解して糖鎖を切り出し、遊理のアミノ基をアセチル化し、還元末端をピリジルアミノ化した。過剰の試薬はゲルロ過のカラムで取り除きPAー糖鎖画分を調製した、得られたPAー糖鎖を1)DEAEーHPLCを用い、シアル酸の結合数により分けた所、シアル酸1〜2モル結合していることが分かった。2)PAー糖鎖を脱シアロ化した所すべてPAー中性糖鎖画分になった。又この画分を上記2次元マッピングにより調べた所、バイアンテナ型とフコシルバイアンテ型が主成分であることが明らかなった。3)これらのPAー糖鎖にシアル酸1又は2モル結合して考えられる16種類のPAー糖鎖の内12種類のPAー糖鎖を天然物より調製し、又残りの4種類の手持ちの無いPAー糖鎖については、上記規則性を利用してそれらの溶出位置を推定した。4)インターフェロンーγより得られたPAー糖鎖を逆相HPLCで精製し、5種のPAー糖鎖を分取した。これらとこれらの部分脱シアロ物について、上記16種類のPAー糖鎖と溶出時間を比較し、インターフェロンーγの糖鎖構造を推定することが出来た。今後さらに高感度化することが望まれる。
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