研究課題/領域番号 |
62580126
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物質生物化学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
伊藤 明夫 九州大学, 理学部, 助教授 (30037379)
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研究分担者 |
川畑 俊一郎 九州大学, 理学部, 助手 (90183037)
斎藤 英彦 名古屋大学, 医学部, 教授 (20153819)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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キーワード | フィブリノーゲン名古屋 / フィブリンモノマー / 機能異常分子 / フィブリノーゲンγ鎖 / IX因子新潟 / セリンプロテアーゼ / トリプシンペプチド地図 |
研究概要 |
先天性機能異常を示すフィブリノーゲンNagoyaの構造解析を行なった。先ず、フィブリノーゲンNagoyaを還元下でSDS-PAGEを行なった結果、正常のものと同じ分子量をもつAα、Bβ、γ鎖3本のバンドに加えて、異常分子では分子量49,500のγ鎖と思われるバンドを生成した。そこで、γ鎖を調製し、臭化シアンによる断片化とリシルエンドペプチダーゼ消化を併用しつつ異常ペプチドを検索した。その結果、HPLC上で正常ペプチドとretention timeの異なるペプチドCN6K2を見し出し、そのアミノ酸配列を調べたところ、フィブリノーゲンNagoyaでは、γ鎖のGln-239がArgに置換していることが明らかとなった。以上の結果から、フィブリノーゲンγ鎖のGln-329はフィブリンモノマーの重合に必須なアミノ酸基と推定した。 1984年、吉岡らによって発見された異常IX因子Kashiharaは、Ca^<2+>共存下でXI因子による活性化が起きない。この異常分子のトリプシンペプチド地図を正常分子と比較した結果、T-19-20'と名付けた異常分子由来のペプチドは、相当する正常分子由来のペプチドT-19-20とはHPLC上での溶出時間が異なった。そこで、そのアミノ酸配列を決定したところ、正常ペプチドT-19-20のNH_2ー末端から2番目のVal残基がPheに置換されていることが明らかとなった。このVal残基は、セリンプロテアーゼチモーゲンの間では極めて保守性が高い。従って、IX因子KashiharaがXI因子によって活性化されない原因は、IX因子のXIa因子による切断部位のArg-180-Val-181周辺が、Val-182→Phe置換によって高次構造変化を起こしたためと推定される。
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