初年度においても著者はLGP107のcloningを試みたが、単離したcloneはLGP107をcodeしていなかった。本年度も同じように抗体を用いて単離を試みた結果3個のcloneを得た。このcDNAはcodeするタンパク質の大きさに相違はあったが、すべてがLGP107の一部または全部をcodeしていた。このうち最も大きなcDNAは1854bpであった。このcDNAから成熟型のLGP107の一次構造を推定することが出来た。それによると成熟型のLGP107は386個のアミノ酸からなる分子量42Kのタンパク質から成ることが明かとなった。しかしこのcloneはsignal peptideをcodeする領域を次損していた。Hydropathy plotの結果からC末付近(351ー374残基)に疎水性の高い部分が存在しており、この部分でリソゾーム膜にanchorされていると考えられる。また無傷のトライトゾームおよびトライトゾーム膜にneuraminidaseを作用した実験結果より、糖鎖はリソゾームの内腔に存在していると考えられる。今回の実験より推定される一次構造と会わせて考慮すると膜にanchorされている部分よりN末端側に全ての血清型糖鎖結合可能部位(20ケ所)が存在しているのでN末端側がリソゾーム内腔に存在し、膜にanchorされている部分を除いたC末端側の12個のアミノ酸だけでcytoplasmic domainを形成していることが明かとなった。また最近ニワトリ、人、マウスのリソゾーム膜タンパク質の一次構造の結果と比較する膜にanchorされている部分を含めてC末端部分の四者のホモロジーは90%以上であった。 Northern blottingの結果から検討した臓器(脳、肺、心、肝、膵、脾、腎)全てにLGP107は発現しておりかつ一種類のmRNAが存在する事が明らかになった。
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