研究概要 |
粘液糖タンパク質(ムチン)の生理機能を解明するためには, タンパク部分への影響なしに糖鎖を除く必要がある. そこで粘液糖タンパク質の糖鎖および0-グリコシド結合部を切断する酵素をえる目的で分解酵素の検索を行ない以下の成績をえた. 1.胃粘液糖タンパク質を唯一の炭素源として利用するバクテリア(Streptomyces)を数種以上見出した. 2.これらについてグリコシダーゼの活性測定をしたところ, Streptomycessp OH-11242が最も高い活性を示したので, この株を使用し以後の実験を行うこととした. 3.OH-11242培養濾液中にはエキソグリコシダーゼ, エンドグリコシダーゼが産生されていることを確認した. 4.エキソグリコシダーゼのうち, 高比活性を有するものには, フコシダーゼ, N-アセチルガラクトサミニダーゼ, N-アセチルグルコサミニダーゼなどがあり, 諸性状を検討している. 5.培養濾液中に産生されるオリゴ糖は, 低分子から高分子にわたって広く分布し, 主に分子サイズ2〜14グルコース単位のオリゴ糖の存在が認められた. 6.これらのオリゴ糖の還元末端をピリジルアミノ化し, HPLCで分析したところ, 還元末端の約80%がN-アセチルガラクトサミンであることから, 0-グリコシド結合を切断するエンドグリコシダーゼが産生したことを示唆している. 現在, 酵素の分離・精製を行なっている.
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