研究課題/領域番号 |
62580130
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
小嶋 久子 北里大学, 医学部, 講師 (90118810)
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研究分担者 |
中村 和生 北里大学, 医学部, 助手 (40189030)
玉井 洋一 北里大学, 医学部, 教授 (80050441)
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キーワード | 神経細胞の分化 / ras遺伝子 / 腫瘍原性 / 糖脂質 / 神経突起 / カテコールアミン |
研究概要 |
1. 培養神経細胞の分化と腫瘍原性および糖脂質組成の変化について。 グルココルチコイド(デキサメサゾン、DX)によって発現を制御出来るベクターにras遺伝子を組み込み、ラット褐色細胞腫由来の株細胞PC12に遺伝子移入し、神経突起のでる直前のprimed cellである株細胞MR31を確立した。MR31は培地へのDX添加によって24時間で突起の成長が始まり、カテコールアミン含量の増加、アセチルコリンエステラーゼ活性の上昇が確認された。PC12のヌードマウスに対する高い腫瘍原性が、MR31では激減した。さらに、ガングリオシドの一部と極性の高い中性糖脂質組成が、PC12とMR31では異なっていた。しかし、MR31とDXで突起の出たMR31-DXでは糖脂質組成は変わらず、細胞分化の段階に関わる糖脂質の発現にある示唆を与えるものと考えられた(63年度生化学会発表、論文投稿準備中)。 63年度の交付科研費は主として細胞培養関係のプラスチック器具等の購入にあてた。 2. αーヒドロキシ酸含有セレブロシド(フレノシン)を培養細胞で発現できる系の確立について。 前年度のフレノシン発現細胞の選別を再度やり直した。ミエリン形成期のマウス脳から総RNAを抽出後、oligo-(dT)カラムに通してm-RNAを調製した。Amershamのc-DNA合成キットによりc-DNAを合成、その後c-DNAクローニングシステムを使ってλgt10ライブラリーとした。次に(1)他のベクター(pMSG,pZIPneoSV(X))につなぎ直して、(2)NIH3T3細胞ヘリン酸カルシウム法にて遺伝子導入し、選択培地で培養した後、(3)生じたコロニーを増やして脂質の抽出を行う、のが手順である。プローブ、抗体等がないため、DNAの二次産物である脂質の分析に頼らざるを得ないのが難点であるが、平成元年度中にめどをつけたい。
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