研究概要 |
1.ヒト胎盤レクチン, ニワトリ16Kレクチンの一次構造決定. 核酸レベルでの解析を目指し, それぞれに対するmRNA画分を調製し, CDNA合成後, λgt11に挿入してライブラリーを作製した. 抗体によるスクリーニングで多数のポジティブクローンを得たので, 現在確認作業中であり, 順次配列を決定する予定である. またアミノ酸レベルでの解析も平行して行っており, 特にヒト胎盤レクチンについては, 各種特異的切断法による断片を分離しており, 自動エドマン法を適用して配列決定中である. ニワトリ14Kレクチンとの類似性はかなり高い. 2.分子レベルでのレクチンの機能解明. 諸性質の研究にアフィニティークロアトグラフィーの利用がきわめて有効なことがわかっているので, 更に高度化すべく, 高性能アフィニティークロマトグラフィー用吸着体を各種作製し検討した. 特にニワトリ14Kレクチンに対するモノクローン抗体を固定化した吸着体を用いると, 糖結合特異性を含めた諸性質の分析が可能になるなど, 有益な知見がえられた. 3.生物学的役割. ニワトリ14Kレクチンについて, 発生途上の皮膚における役割を調べるために, 抗体標識し電子顕微鏡で観察した. 表皮細胞においては, デスモソーム周辺に明らかに分布しており, 細胞間相互作用に関与していることが強く示唆された. ヒトにおけるレクチンの役割を解明する目的で, 各種組織, 特にガン組織について, ラジオイムノアッセイ, ウエスタンブロッティング等の手法により分析し, 肝臓, 肺臓等においては, ガン化によりレクチン含量が増加すること, またこれに対するレセプターの性状も変化することが示唆された.
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