ラジオイムノアッセイによるモノADP-リボース化たんぱく質定量法の確立と応用

1988 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 62580151
• 研究機関: 島根医科大学
• 研究代表者: 谷河 精規 島根医科大学, 医学部, 助教授 (60084860)
• 研究分担者: 三島 宏一 島根医科大学, 医学部, 助手 (90181875) ; 土屋 美加子 島根医科大学, 医学部, 助手 (90188582)
• キーワード: モノ(ADP-リボース) / モノクロナル抗体 / ADP-リボース転移酵素 / 核たんぱく質

研究概要

我々は成鶏肝臓核よりモノ(ADP-リボース)転移酵素を0.35MNaClで可溶化した後、フェニルセファローズ、CM-セルローズ、ゲル濾過フェニル5PW、及びモノSカラムクロマトグラフィーを行ない単一酵素標品にまで精製したが、本酵素の精製途中すなわちセファデックスG75のゲル濾過ステップまで共に精製されてくる分子量3万3千(p33)のたんぱく質は酵素たんぱく質とかなり強固に結合しており、ADP-リボースの優れた受容体であることが見出された。このたんぱく質を単一標品まで精製し、そのアミノ酸組成を検討したところ非ヒストンたんぱく質と考えられた。精製ADP-リボース転移酵素を用いて本たんぱく質をADP-リボース化すると、DNAを依存性のADP-リボース化を認め、その至適濃度比は1:1であった。又、DNAと強固に結合する本たんぱく質がADP-リボース化されると、DNAとの結合能がなくなることがわかった。更に、我々はp33たんぱく質に対するモノクロナル抗体を作成することに成功したので、このモノクロナル抗体を用いて組織、更に細胞内分布を検索したところ、本たんぱく質は肝臓以外に脾臓、及びヘテロフィルの核に局在し、ADP-リボース転移酵素と共にクロマチンと結合して存在することが明らかとなった。この結果は以前の酵素活性の細胞内分布、更にはp33たんぱく質の細胞内分布とよく一致していた。p33たんぱく質が核に局在していること、及びADP-リボース化するとDNAとの結合能が変わることにより本たんぱく質のADP-リボース化はクロマチンの構造の変化、更には情報発現機構の調節に関係しているものと考えられた。

研究成果

• [文献書誌] N.Hara,;K.Mishima,;M.Tsuchiya,;Y.Tanirawa,;M.Shimoyama.: Biochemical and Biophysical Research Communication. 144. 856-862 (1987)
• [文献書誌] N.Hara,;M.Tsuchiya,;K.Mishima,;Y.Tanirawa,;M.Shimoyama.: Biochemical and Biophysical Research Communication. 148. 987-994 (1987)
• [文献書誌] K.Mishima,;Y.Tanirawa,;N.Hara,;M.Tsuchiya,;T.Ushiroyama,;Y.Yoshimura,;M.Shimoyama.: The Journal of Biochemistry. 103. 342-347 (1988)
• [文献書誌] R.Matsuura,;Y.Tanigawa,;M.Tsuchiya,;K.Mishima,;Y.Yoshimura,;M.Shimoyama.: Biochemica et Biophysica Acta. 969. 57-65 (1988)
• [文献書誌] R.Matsuura,;Y.Tanigawa,;M.Tsuchiya,;K.Mishima,;Y.Yoshimura,;M.Shimoyama.: Biochemical Journal. 253. 923-926 (1988)
• [文献書誌] K.Mishima,;M.Tsuchiya,;Y.Tanirawa,;Y.Yoshimura,;M.Shimoyama.: European Journal of Biochemistry.
• [文献書誌] H.Kawamitsu,;M.Miwa,;Y.Tanigawa,;M.Shimoyama,;S.Noguchi,;S.Nishimura,;T.Sugimura: "ADP-ribosylation of Human c-Ha-ras protein by Hen liver ADP-ribosyltransferase.In:NIacin Nutrition,ADP-ribosylation and Cancer" Springar-Verlog, (1988)
• [文献書誌] M.Shimoyama,;N.Hara,;M.Tsuchiya,;K.Mishima,;Y.Tanirawa.: "ADP-ribosyltransferase and endogenous Acceptor proteins in animal muscle tissues:ADP-ribosylation of Ca^<2+> -dependent ATPase in rabbit skeletal muscle sarcoplasmic reticulum and" Springer-Verlag, (1988)