使用済核燃料の処理処分や環境放射能の評価等に関連して、アクチノイドの地層中における化学種分布および固相の代表例としての非晶質含水酸化物(ニオブ、スズ)への収着挙動を検討した。 錯生成を含む化学種分布の検討によれば、ネプツニウムは他の物質と反応しにくいNpO_2^+という化学形になりやすくかつ加水分解反応と競合して可溶性炭酸塩錯体を形成するので、アクチノイドのうちで地層中を最も移行しやすい元素であると考えられる。この元素の5価-4価の標準電位はウランの6価-4価のものと近く、NpO_2^+とUO_2^<2+>は同じ化学形をしておりその錯生成挙動には相関があるので、ネプツニウムの挙動はウランをナチュラルアナログとして修正を加えてある程度予測できる。 一方アクチノイド元素の、固相との相互作用は不明の部分が非常に多く、これを明らかにすることはこれら元素の地層中での挙動を考える上で不可欠である。ここでは含水酸化物を用いて微量金属イオンの収着挙動を明らかにした。弱酸性イオン交換体モデルは、これまでの強酸性イオン交換体モデルと比べはるかによく含水酸化物の性質を記述でき、収着の際の金属イオンと固相との相互作用を推定できる。これによれば、アルカリ金属イオン等の加水分解をうけにくいイオンにはイオン交換により収着されるが、他の多くの遷移金属イオンは宮能基と直接結合を形成して固相に収着されるのでイオン交換の考え方のみでは説明できない。イオンの収着機能は固相の種類によって大きく変化することが予測されるので更に広汎な検討が必要である。
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