研究概要 |
1)ウラニルイオンの光化学的定量手法の確立;ウラニルイオンの光吸収による発光を利用し, 定量手法を確立した. 消光作用の強い共存物質存在下でも定量可能な簡便な手法が確立できた. 硝酸濃度に依存する吸収スペクトル等の分光学的特性の整理, 発光量子収率の決定が出来た. 3M硝酸中では様々な消光物資の消光速度定数のデータを整備した. 2)可視光照射によるウラニルイオンの還元反応;407nmの光を用い, 硝酸溶液中で主にエチルアルコールを光還元〓とし, U(IV)の還元量子収率を測定した. エタノールを用いたのは, データの蓄積が一番多い系であることによる. ウラニルイオンは50mMに固定し, 硝酸濃度を0.02Mから4Mまで変化させ, 脱気系, 空気溶存系にて, 硝酸濃度依存性を求めた. その結果, 大きな硝酸依存性が見い出された. 特に高硝酸濃度では, 量子収率の低下と, 亜硝酸の生成が著しい. このことは, 励起ウラニルイオンとアルコールで生成してくる反応中間体と硝酸の間で, ある反応が存在し, その結果, 亜硝酸が生成することを示している. この点は従来から知られている, 過塩素酸, 硫酸系での結果と大きく異なる. これが硝酸系での反応を特徴ずけている. さらに, 水素イオン濃度, 硝酸イオン濃度の効果等を調べ, 低硝酸濃度域での急激な量子収率の増加は, 水素イオン濃度に基く効果であることも判明した. メカニズムの検討のために, 添加エタノール濃度の変化も測定し, 同一条件下での消光実験と比較した. その結果, エタノール低濃度領域では, 量子収率測定実験と消光実験の一致はよい. 以上のような様々な条件下での実験から, 硝酸系中でのウラニルイオンの反応メカニズムの検討を行っている. 又, 低硝酸濃度では生成したU(IV)は, 放置しておくことで, 微粒子を形成することが判明し, 超遠心分離した後, 生成粒子のX線〓析の結果はUO2であるらしいが, 検討中である.
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