研究概要 |
本年度はまずワイヤラップで試作した共有メモリ方式並列計算機CX1(並列度4)がホストの汎用計算機FACOM M340R上のFORTRANプログラミングで一貫制御できるようにするため, CX1とホスト間の通信制御用ライブラリを完成した. これは(1)CX1とホスト間で同じ数値を表わすフォマットが異なるのでこれを相互変換するサブルーチン群, (2)CX1とホスト間でプログラムや数値データを容易に相互転送するサブルーチン群および(3)CX1の動作を監視し, エラー発生時にそのステータス情報を回収するサブルーチン群に大別される. 以上の準備後, 直列計算を分担するホストと並列計算を行なうCX1が有機的に結合するハイブリッド型のBWR定常炉心シミュレータを作成し, ハイブリッドシミュレーションを実証した. これは, CX1には計算時間のかかる定常2次元2群中性子拡散計算を分担させ, 一方ホストにはその定常中性子束の収束値をもとに炉内熱出力分布計算と炉心各部の冷却材チャンネルでの2相流伝熱流動計算を分担させるものである. 試行例では並列度4での並列プロサセ稼動率は約85%と効率は低下せず, ホスト機のみの計算と比較して並列計算の精度と高速化が確認された. なお, モジュール統合型シミュレーションシステムではその機能を拡充し, 知識情報処理の適用により, シミュレータへの数値入力自動設定機能も付加され, 本年度の研究によりソフトウェア上はCX1をモジュール統合型シミュレーションシステムへ組込みが可能となった. しかし, CX1自身のプログラミングはアセンブラによっているので, 高級言語による有効な並列プログラミング技法の開発は今後の課題である. また, CX1の多層基板化については, 本年度のハイブリッドシミュレーション試行中に発生した処理ユニット, 中間ユニットのトラブルを解決するための回路修正に終止し, メモリユニットの基板化を試行するに留まった.
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