原子力システムの設計解析や安全評価の基盤となるコンピュータシミュレーションの新しい幾つかの方法を提案した。まず、原子カプラントの動持性シミュレーションを対象に、そのプログラム開発や計算定行におけるソフトウエア生産性を向上するために、モジュール統合型シミュレーションシステムを開発し、プログラム開発や計算用入力データ設定における生産性向上を事例により示した。これは、ソフトウエア再利用性を高めるためプラント解析用コンポーネントモデルの、(1)モジュールライブラリ化と、その利用情報検索のための、(2)モジュールデータベース、モジュール統合を効率化するための、(3)プログラム自動生成と自動診断、計算時の数値入力データ設定支援のための、(4)解析用情報の知識ベース化およびユーザ作業の円滑な支援のための、(5)ヒューマンインタフェースを基本的方法として構成されたものである。ついで、原子力システム解析で多用される高次元偏微分方程式の計算の高速化をはかる新しいアーキテクチャの計算機方式として、共有メモリ方式の並列計算機CXー1を、汎用計算機をホストとするバックエンドプロセッサとして試作し、計算例により偏微分方程式の数値求解を並列計算により高速化できることを示した。さらに、CXー1をホスト側から一貫通信制御できるユーティリティライブラリを作成し、並列計算機上のプログラムを、汎用計算機上のプログラムにより制御し、モジュール統合型シミュレーションシステムのモジュールにソフトウエア仕様上は統一化することによって、直並列計算、知識処理の融合する新しいハイブリッド型シミュレーション方式を提案すると共に、BWRプラントの炉心核熱流力シミュレータを作成し、このような新ハイブリッド方式シミュレーションの実現できることを示した。
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