当該年度は主に照射済試料の機械的特性評価が行なわれた。 (1)用いられた試料は機械的試験のための通常のJIS規格よりも1/40体積のものでこのミニサイズの試料でも照射効果の特徴をつかむことが可能であることをJIS規格試料との比較において確認した。このことから、今後のセラミックス試料の照射効果を評価していく上での新たな手段になるものと思われる。 (2)次に硬度や破壊靱性評価では、装置の計装化を計って、データをコンピュータ処理したことにより、多数回の測定値を統計的に処理できるようにした。この方法により各種の試料の照射線量に依存した硬度と靱性値を正確に得ることができた。 (3)原子炉の低温照射(25K)により照射された試料を液体窒素中に移し、この77Kの温度で初めて曲げ強度試験が行なわれ、常温照射した試料と比較された。照料量が1.1×10^<17>n/cm^2までの範囲内では酸化物、非酸化物試料とも急激な強度の低下を示すものはなかった。 (4)放射化分析により、長半減期の核積、^<54>Mn、^<134>Cs、^<119m>Sn、^<124>Sbが試料中に含まれていることが分ったが、原子炉、核融合材料として検討する場合、今後焼結剤として長半減期の元素が混入しない様な素材と焼結助剤の選択が必要であることが分かった。
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