本研究において、各種セラミックスの原子炉照射が25Kと360Kで行なわれ、各種評価によりこれらの材料の照射効果が明らかにされた。この過程において、中性子照射効果を明らかにするためにガンマ線照射が行なわれ機械的評価と比較がされた。照射前後で機械的特性として、曲げ強度、ビッカース硬度、破壊靱性値が評価された。この結果、ミニチュアサイズ(12×2×0.5mm^3)の試験片においても原子炉中性子照射効果の特微を把握できることが分かった。このことから試料当りの誘導放射能を小さくすることができ又照射温度や照射線量の勾配の影響を小さくできることを可能とした。 (1)原子炉低温照射と常温照射では1×10^<17>n/cm^2の高速中性子照射では、曲げ強度変化に大きな差はなかった。 (2)常温照射した単結晶アルミナ・多結晶ジルコニアは中性子照射量5×10^<17>n/cm^2以上で曲げ強度の劣化が著しいが、多結晶アルミナ・スピネルは初期強度は前者より相対的に小さいものの、1.0×10^<19>n/cm^2までは放射線照射に安定な特性を示した。 (3)炭化珪素、窒化珪素は1×10^<19>n/cm^2の中性子照射に対しても曲げ強度の低下はみられなかった。窒化珪素はビッカース硬度も大きくしかも破壊靱性値も高い状態を保つなど照射に対して安定であった。 (4)ガンマ線照射を3×10^9Rまで各種試料について行ない評価したが、変化はみられず、中性子照射による効果を主に考慮すればよいことが分かった。 (5)核変換を利用した破壊靱性値の増強効果については更にドープするボロン量を変えるなど、今後更に詳しく検討していく予定である。
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