研究課題/領域番号 |
62580183
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
原子力学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山田 澄 大阪大学, 工学部, 助教授 (00029133)
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研究分担者 |
飯田 敏行 大阪大学, 工学部, 助手 (60115988)
住田 健二 大阪大学, 工学部, 教授 (80028977)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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キーワード | 自己回帰移動平均過程 / 適応フィルタ / RELS法 / オンラインパラメータ推定 / 未臨界度 / 臨界安全監視 / 伝達関数の折れ点周波数 / 残差の分散行列 |
研究概要 |
未臨界度の変化を迅速に検出する安価なオンライン臨界安全監視システムの開発が求められている。本研究では、まず未臨界システムが一点炉一群近似動特性方程式で記述できるものとして、中性子検出器出力ゆらぎ時系列データは自己回帰移動平均(ARMA)過程となることを示し、適応フィルターによりこのARMAモデルパラメータをオンライン推定して、モデルの高周波側折れ点周波数(Fc)から未臨界度を推定する方法を提案した。次に、この手法を実用化するのに必要な知見を得るため、計算機シミュレーションと近畿大学炉実験による実データの解析により以下の結果を得た。1.中性子検出器出力ゆらぎのサンプリング周波数(Fs)は20Fc〜200Fc、2.エリアシング除去フィルタとして1/2Fsに析れ点周波数を持つ4次程度のローパスフィルタ、3.平均値除去フィルタとして0.1Fc〜0.01Fcに析れ点周波数を持つ6次以上のハイパスフィルタを用いる必要がある。4.パラメータ推定アルゴリズムは初期値を適切に設定したRecursive Extended Least Squares法でARMA(1,1)同定する。5.時間的に変化する未臨界度をより高速に推定する改善法として、残差分散行列活性化法を提案し、この方法を用いることにより、ステップ状未臨界度変化をおよそ1000データで検出できる(サンプリング周波数20KHZに換算すると0.05秒)。以上の結果、オンライン未臨界度推定に本手法が有効であるとの見通しを得た。本手法は原理的に特殊な中性子源や検出器が不用であり、非常に簡単な臨界安全監視システムを構成できるものと期待され、従って臨界安全監視を必要とする場所に容易にこのシステムを設置できる。しかし、結果は一点炉近似動特性の範囲に留まり、実用化のためには、空間依存性の考察と、S/N比の良い信号を得るための中性子源の強化が重要となる。
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