研究概要 |
本研究は6Li入りのガラスを検出素子とし, 中性子の入射によって生ずる光をフォトダイオードで受けて電気信号に変換し, 中性子の検出を行うものである. 6Li入りガラス内で生ずる光は微弱であること, フォトダイオードの感度はフォトマルに比べ, 未だ低感度であることから, 6Li濃度の異なる8個の6Li入りガラス検出素子を使用し, それぞれの検出素子から得られる信号と6Li濃度との相互相関を取ることにより, 暗流やγ線などのバックグランド成分を取り除き, 中性子成分だけを測定しようとするものである. 当初, 円板型の6Li入りガラスを扇状に8分割した形状の中性子センサーで検出器を構成する予定であったが, ガラスの形状が極めて検出感度に効くことが判った. すなわち, 発光能力と光透過能力を加味して厚みは約1cm, また入射面断面積は, フォトダイオードの受光面積に等しい1cm2四方とすることが最適であることが実験より得られた. 更に検出感度を上げるためには, 6Li入りガラスの発光する光波長スペクトルとフォトダイオードの受光感度の光波長スペクトルとが十分に重畳していることが重要なポイントであり, 場合によっては両者の間にウェーブシフターの必要もあると考えられる. そこで, この基本的な素子の性能を調べるため, 微弱光の解析もできるような, 光スペクトルアナライザーの製作に重点を置いて, 研究を現在進めている. この装置は, 集光部, 分光部, ロックイン増幅部, 解析部より成り立つもので, 6Li入りガラスからの微弱光を集光できるような集光部の設計, 製作は, 現在完了している. 残りの部分については, 経常研究費によって購入を予定しており, 各単位として近々に納入されることになっている. この光スペクトルアナライザーの総合調整を行なった上で, 6Li入りガラスとフォトダイオードの発光スペクトル, 受光感度スペクトルの微細構造を先ず調査・検討をしたいと考えている.
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