本研究の目的は開拓以前の北海道の地域像を集落を中心に復元し、その立地を自然環境との関わりの中で考察するとともに、集落に内在する問題を人口移動を中心に分析することにある。研究の経過を要約すれば次の通りである。 1)古地図・古文書を用いてアイヌ集落の分布図が作成され、開拓以前における生態空間の特性が明らかにされた。 2)古地図・旧版地形図を用いてアイヌの生業に関する各種地名分布図が作成され、集落立地を考察する際の資料とされた。 3)各種史料を用いて「北海道古地名索引」(デ-タベ-ス)が作成された。またこれから地名頻度一覧表が作成され、地名の利用に関して若干の知見がえられた。 4)モンベツ・ミツイシ両場所を中心として幕末期〜明治初期の人口動態が明らかにされ、当時の集落立地と社会構造を考える手がかりがえられた。 5)千歳川・西別川流域で水文・地形に関する調査が行われ、居住環境復元の資料がえられた。 なお本研究は、標題からもうかがわれるように和人の集落についても研究をすすめる予定であったが、2年次からは地名デ-タベ-スの作成に多大の時間をさくことになり、目的の一部を今後の課題として残すことになった。
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