研究課題/領域番号 |
62580187
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
石井 英也 筑波大学, 歴史・人類学系, 助教授 (60091881)
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研究分担者 |
手塚 章 筑波大学, 地球科学系, 講師 (60155455)
奥野 隆史 筑波大学, 地球科学系, 教授 (10092511)
小野寺 淳 筑波大学, 地球科学系, 講師 (90204263)
岩崎 宏之 筑波大学, 人類学系, 教授 (50087904)
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キーワード | 限界地立地集落 / 新田集落 / 士族授産事業 / 緊急開拓事業 |
研究概要 |
本研究の目的は、関東東北部における湿地や台地や火山斜面や砂丘丘、いわゆる経済的限界地に立地する集落の実態を把握し、その後の変容過程に見られる地域性と一般性を摘出することである。限界地を明確に定義し、すべての限界地立地集落を把握することは困難なので、ここでは比較的系統的に把握しやすい近世期の新田集落、明治期の士族授産事業などを契機とする開墾集落、第二次世界大戦後の緊急開拓事業に基づく開拓集落をその代表的形態とみなして研究を進めた。 研究は、限界地立地集落を系統的に把握するものと、個別の限界地立地集落の変容に関する実態調査という二つの側面から進めた。前者に関しては、とくに茨城県を取り上げ、地形図、地名辞典、「新編常陸国誌」、茨城県県史資料、農地局の「開拓組合別建設、入植営農状況」などを資料として、限界地立地集落の復原を試みた。その結果、近世期の新田開発は湿地帯の開墾が卓越していたのに対して、明治期以降の開墾は洪積台地や火山斜面の開墾が多いことが明らかになった。 後者に関しては、茨城県波崎町の砂丘地帯や利根川流域のかつての湿地帯や栃木県の那須野ヶ原を取り上げ、調査を行った。その結果「限界地立地集落は当初、自然基盤に由来する弱点を有していたが、その後、時代の変化とともに大規模土地所有という条件や、農業の低生産性を補うために比較的早く導入した商業的要素をさらに発展させて著しく近代化してきた」というわれわれの仮説が一部では裏付けられたが、当初の弱点を克服できない事例も存在することがわかった。その差異は交通の改良、周辺地域との関係、その地域の伝統など、さまざまな要因と結びついていることが明らかになった。
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