研究概要 |
名古屋市の都心地区を設定するために2.5万分1土地利用図を250mのグリッドに区切り, 各グリッドに5×5の点格子板をあて, 各グリッドごとの土地利用構成を計測した. その結果に修正ウィーバー法を適用して, 各グリッドの土地利用類型を区分した. この土地利用類型から判断して, 名古屋市の1975年頃の都心地区は, 名城公園以南で東海道本線ならびに中央本線に囲まれた範囲と, 名古屋駅西部, 金山駅南部, 千種今池地区, 大曽根地区, ならびに熱田駅周辺と考えられた. これらの中で熱田駅周辺地区は飛地的に分布するためこれを除外して, 上記の範囲ならびにその隣接地を都心ならびに都心周辺地域と想定した. この範囲について建物の用途の階数を現地で悉皆調査した. その結果をグリッドならびに町丁目を単位として集計し, 土地利用密度と土地利用類型を各単位ごとに算出, 区分しその分布図ならびに傾向面を作成した結果, 次のようなことが明らかとなった. 1.昭和50年当時と現在の土地利用とを比較して, 名古屋駅西部ならびに名古屋駅と栄地区との中間地域に業務的・商業的土地利用の拡大がみられる. 2.金山駅周辺, 千種今池地区, 大曽根地区では業務的・商業的土地利用の拡大はあまりみられず, 居住的土地利用の垂直的拡大が顕著であった. 3.名古屋駅東部, 栄地区などでは土地利用の垂直的拡大が進み, 低層の建物の混在口少なくなったが, 同一建物内での用途の混在が進展した. 4.旧来の中心商店街であった大須地区, 円頓寺地区では路線状商店街の垂直的拡大は遅れているが, その周辺の問屋街では商業・業務・工業という用途の混在がみられ, 業務機能に特化した建物では垂直的拡大も進展している.
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