研究概要 |
平成元年度は、主に石垣島と波照間島の土地改良前と土地改良後のサトウキビ収量の変化を調査した。現地調査では、土地改良の現状を把握し、製糖会社からサトウキビ収量、栽培品種、気象観測結果の資料収集をおこない、関係機関から土地改良に関する資料収集をおこなった。 石垣島では土地改良、かんがい設備を伴った圃場整備事業の面積が、1978年頃から急速にのび出し、1987年までには1,740ha余りに達した。土地改良事業は隆起サンゴ礁地域以外の土地も含むものであり、サトウキビばかりでなく牧草地にも利用されている。しかし、土地改良が本格化してからのサトウキビ収量には安定性があり、10%弱ではあるが単収の増加もみられている。この島の場合、背後に豊かな水資源を涵養する高い山地と森林地域があり、スプリンクラ-によるかんがい設備を設置できるほどの水資源があることが効果を生んでいるといえよう。 波照間島は気象観測値から推定される干ばつの度合は石垣島と大きな差はみられない。この島は1980年頃から本格化した点滴かんがいを伴った土地改良がおこなわれ、その後もかんがい設備をもたないクチャの投入による土地改良の基盤整備事業がおこなわれている。しかし、単収は若干上昇はしているものの石垣島のように基盤整備事業の効果があらわれてはいない。この島の場合、全島に充分かんがいをおこない得るほどの水資源の確保はむずかしく、そのため単にクチャの混入によって土壌深を厚くしただけでは、干ばつ時の減収を充分におさえきれないようである。今後、基盤整備による耕地面積の拡大と労働力との不均衡が予想される。
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