研究概要 |
中学生200人を対象として, 数学のテストについてテスト項目の反応データを1年生のときから3年間にわたって縦断的に収集するパネル調査を行ってきたが, 今年度でこの調査を完了した. このうち, 中学1年生のときに実施された7回分のテスト項目反応データをパソコンにより入力し, テスト毎に7つのファイルを作成した. これらのファイルを大型計算機センターに転送し, 欠測値のあるデータをケース単位で削除し, 1つのファイルにまとめた. この併合されたファイルを用いて項目間の四分相関係数をニュートン・ラフソン法で求めたが, ここでも収束しないものがあったときは項目単位で削除して相関行列を出し, この行列を用いて因子分析を行った. そして, 140項目のテスト項目についての難易度と識別力を求めた. 次に, データベースのファイル設計を行って, リレーショナル・データベースのファイル記述言語によって記述した. テスト項目のファイルは, 教示とテスト項目の内容と正答・誤答例と先に得られた難易度と識別力の他に, その項目の教科・学年・教科書・章・節を表すコードをデータ項目とするレコードから構成される. さらに, 教科コードと教科名, 教科書コードと教科書名から成るファイルがそれぞれ構成されて, 最終的にはこれらのファイルが結合されて1つのデータベースを構成する. 一方, これまでに開発されてきたテスト項目の提示方略を整理し, シミュレーションの準備をした. また, 数学教材による学習行動の観察のためのCAIラボラトリーオートメーション構築の1例であるCAI教材「2次方程式」を報告し, コースウエア作成のための支援プログラムやシステム, CAI教材を作成する際の基本的考え方, 実証的な立場から教育研究のためのCAIシステムの提案を述べた「CAI教材の作成」をまとめた.
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