日本における理科の教師教育、特に教員養成に関する実態調査問題を作成し、全国の教員養成系大学・学部(含分校)計54校に送付し、回収した。不明な点は当該大学・学部の理科教育担当教官に電話、手紙等で応答を得、全ての計54校より回収した。米国の理科の教師教育についてはアイオワ大学のUPSTEPをケーススタディとして、米国で著名な理科教員養成プログラムの内容を解明した。これらの結果の一部は昭和63年7月の日本科学教育学会第12回年会で、研究分担者と連名で発表した。なお、米国の事例はこの他にNSTA(全米科学教育連合学会)や1986年9月のハワイ大での日米科学教育セミナーの討議の結果も含めた。 これら日本及び米国における調査研究をさらに詳しく分析、解明して日本及び米国の理科の教師教育に関する研究の中間報告書として、「理科の教師教育に関する日米比較研究(1)」にまとめ印刷中である。 これまでの研究の結果、日本の特に中等学校の理科の教員養成について、多くの点が解明できた。とりわけ、理科の教員養成カリキュラムは理科の教員免許法で定められた標準的な科目名称、単位数、内容に対して、多種多様なカリキュラムが存在する。米国の理科の教員養成カリキュラムで特徴的なのはメソッドコース(指導方法論)と呼ばれる。理科教師教育の理論と実践とを統合する科目である。また、理科の実験指導技能を分析する有効な手法となるLAI(実験指導構成分析処方)を全訳し、日本での適用を検討中である。 これらの研究成果を基に来年度は、小学校段階の理科教員養成、及び教育学部以外の全国の国立大学の理科教員養成の実態を解明することを目指す。米国の近年の理科教師教育研究についても解明を図る。上記LAIに基づく、日本の理科授業のlesson planの作成を図る。これらの成果を最終報告書としてまとめ、作成すること等を計画している。
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