コンピュータ教育の実践校では、生徒の意欲、態度やコンピュータ対する基礎的な理解の面で着実な成果が得られているものの、自作ソフトを作る時間の確保やカリキュラム上での位置づけを初めとして、学習指導のあり方や学校運営のあり方に数多くの課題があることが明らかとなった。 導入時の目的は、小学校では学習意欲の向上や個別化など教科指導の面での利用が中心であり、中学校・高等学校では事務の合理化が重視されている。これからの目的では、小学校、中学校は情報活用力の育成へ、高等学校では、学習の個別化へも力をいれていこうとする動きがある。 小学校、中学校は導入してからの年数が少なく台数もまだ少ないが、その中で各種CAIへの取り組みが重視されている。その結果、校内研修や操作できる教師の割合は小学校で高く、学校全体としての取り組みをしている。一方、高等学校の利用は、CMIを中心とする学校運営での利用と職業科を中心とするコンピュータリテラシー教育に重点がおかれている。 組織風土や学校の属性が与えるコンピュータ教育実践に与える影響の大きさは必ずしも高いとはいえない。しかし、「開発・進歩性」や生徒数、学校長の在校年数が操作率や研修率など学校全体としてのコンピュータ教育の取り組みに規定力を持つ。また、学校長の在校年数が長いほど台数は多く、全校的な体制になる傾向がみられる。学校長が若いほど良い風土が形成される傾向があり、管理職の役割行為が、革新の実践にとって重要な要因であことは否定できない。教師の評価と教師の行動や考え方の変化度の影響も強い。コンピュータ教育の実践は今までの枠組みの中での利用を考えるよりも、コンピュータの利用によって新たな教育観、授業観の創造を考えるべきである。
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