研究概要 |
理科学習における問題解決の過程については, 1960年代に米国で起こった教育改革の影響を受け, わが国では昭和48年に文部省から刊行された「中学校理科指導資料・探究の過程を重視した理科指導」によって"探究の過程が全国の中学校に紹介された. 以後, 問題解決の過程における諸能力の評価は, この探究の過程に沿った"科学の方法(探究の技法)"に目を向けられてきた. また, 実技テストの一つとしてパフォーマンステストがあるが, まだいくつかの問題点が存在しており, どちらも多くの課題が残されている. 1977年, 英国では学習の達成度を評価するために国レベルのプロジェクト・APU(Assessment of Performance Unit)がつくられ, 実施されてきている. 理科に関しては, 理科学習におけるパフォーマンスをいくつかのカテゴリーに分け, それを評価の. カテゴリーとしている. これは前記の探究の過程や科学の方法と共通している点もあるが, 問題解決の過程を中心としたカテゴリーであり, 評価問題の文脈においても, 大変ユニークなところがある. すなわち, 評価問題としては, 単に理科の学習内容にとどまらず, 他教科での学習内容や学校以外での身の回りで得られる生活経験などを取り扱っている. APU理科は, 問題解決における諸能力を評価するだげでなく, 理科の学習が理科だけにとどまらず, 生活していくために応用のきく能力の必要性を強調しているようである. 今年度は, 上記のAPU理科に関する文献や報告書を中心に, APU理科はどのようなものであるのか調べ, APU理科にある評価問題を使って日本の児童に調査を実施した. 調査結果の細かい分析については, 昭和63年度以降に行い, さらに, 理科実験における問題解決の諸能力に焦点をしぼって研究を深めて行きたい.
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